ヨルフの日記

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読書『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹)

こんにちは.ヨルフです.

 

今日は最近読んでいた本,『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹)についてです.

 

簡単な紹介

これです.

 

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

 

 

この本の

もし忙しいからというだけで走るのをやめたら、間違いなく一生走れなくなってしまう。

『走ることについて語るときに僕の語ること』,p.111)

という一文をどこか(思い出せない)で知ったことが読むきっかけでした.

 

村上春樹は30代に(正確には20代の終わりごろに)小説を書き始めて以来,文字通りの意味で「走り続けてきた」作家です(日常的な朝のランニング,年一回のフルマラソン参加など).

 

この本は「走る」ことを軸として彼が彼自身について書き記したものです.

 

本の内容に触れる前に、まずは僕が村上春樹に対して思っていることを少し書いておきたいと思います。

 

(注意)

以下の文章について注意を.小説の大筋に触れるような内容は書いていないつもりですが,村上春樹の作品の引用をしていたりするので,「事前情報は一切目にしたくない」という方は読まない方がいいです.

 

村上春樹が好き

僕は村上春樹の小説は何冊か(有名なものばかり数冊)読んでいて,他にあまり小説を読まないこともあって,生きている小説家の中では一番好きな小説家です.

 

僕が村上春樹の小説を好きであるポイントは

  • 生活の描写
  • 文章のリズム,言葉選び
  • 主人公の自問自答

などです.物語の大筋よりもこういう部分に魅力を感じていると思います.

 

僕がいう「生活の描写」というのは,例えばこういうものです.

家に戻って僕は鏡の中に映った自分の顔を見た。確かに僕はほんとうにひどい顔をしていた。僕は服を脱いでシャワーを浴び、丁寧に髪を洗い、髭を剃り、歯を磨き、顔にローションをつけ、それからもう一度鏡の中の自分の顔を細かいところまで点検した。さっきよりは少しはましになっているようだった

ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編 文庫版,p.42)

手持ちの本から急に抜き出したので,これで伝わるかわかりませんが,こういう描写が所々に散りばめられているのが好きです.

 

「文章のリズム」については村上春樹自身が自分の文章の特徴として言及しているらしく,そのことをネットで知った僕はそれが彼の小説の良いところだと(勝手に)認識するようになりました.彼がどういう意味で「文章のリズム」と言っているのかはっきりわかりませんが,僕にとっては「読んでいて気持ちがいい」というようなことです.これについても上の引用で感じていただけないかなと思います.

 

「主人公の自問自答」は読んでいない人には伝わらないと思うのですが,

「〇〇とはなんなのだろうか.〇〇は僕の人生にどういった意味を持つのか,あるいは何の意味も持たないのだろうか.……いや,そんなことを考えるのはやめよう.〜〜であることを認め,受け入れて(それは少なからぬ苦痛を伴うだろう)生きていくしかないじゃないか」

とかそういうやつです.結論がどうであれ,自分の生き方について真剣に考えようとしているところに共感します.

 

『走ることについて語るときに僕の語ること』

そして『走ること…』はテーマがテーマだけに,この3つの要素がふんだんに盛り込まれています(リズムに関してはテーマは関係ないかな).「走ること」自体についてや各地の道,風景,気候に対しての印象が詳しく描かれているのも特徴かなと思います.

 

例えば,1996年に参加したというウルトラマラソン(=100km)について20ページほど使って書かれているのですが,そこではランナーとしての心境の変化がドラマチックに描かれていて,単純に面白く,かつ,興味深いです.

 

他にも小説を書き始めた時に(決意を持って)ランニングを始めたことについて書いている部分は特に村上春樹自身について書かれている部分で興味深いです.

 

他にも面白い部分は沢山あるのですが,まとまらないし疲れてきたのでこの辺で.